ゆる読書会 参加者インタビュー Vol.3 ゴンさん(後編)

北海道からゆる読書会に参加しているゴンさんへのインタビューです。ご両親の絵本の読み聞かせから始まり、温かいお人柄が伝わってくるエピソードが満載の前編でした。後編ではゴンさんのお仕事(介護職)について深くお伺いしていきます。

お話を聞いた人 ゴンさん

1992年生まれ、生まれも育ちも北海道。大学卒業後は介護職の世界へ。趣味は読書、日記や手帳活(読書記録など)をすること。

介護職を選んだきっかけは人とのふれあい

—— ゴンさんは介護職に就かれていますが、もともと福祉や介護の分野に興味があったんですか?

確かにそうかもしれないです。親に本をよく読んでもらっていたという話をしましたが、ただ読んでもらうだけではなく、その中で「この時はどう思ったんだろうね」と感想をよく話していました。その親との語りを通して「人と人との関わりっていいな」と感じ取っていたような気がします。

——「 人との関わり」というところから、介護職へ興味をもった具体的なきっかけはあるのでしょうか?

福祉の仕事に就きたいなと思ったきっかけは明確にあります。中学生の時、 暗黒時代とまでは言わないですが、思春期だったこともあって対人関係で悩んでいたんです。

で、ある日学校の帰り道に、郵便局に向かっている人を見かけたんです。その方は足が悪いみたいで、北海道の冬は雪で道が悪いのもあって大変そうにされていました。すぐそばにポストがあったので、「これ(郵便物)入れてきますか。」と声をかけたら、すごく喜んでもらえて。

手を繋ぐ

人と関わるのってなんかつらいことばっかりだなと思ってた時期に、「あ、こういう簡単な関わりで、心温まる瞬間があるんだな」っていうのを、その一瞬で感じることができたんです。その時から、福祉関連の仕事ができたらって思い始めました。

—— 介護職を志す明確なタイミングがあったのですね。

介護職のやりがいとは?楽しいと思える瞬間を大切に

—— 一般的に介護の仕事は大変というイメージがありますが、お仕事はお好きですか。

そうですね、高校生になってから周りに介護を仕事にしたいんだって言ったんですが、その当時は今よりも介護の仕事に対するイメージがあまり良くなくて。今も賃金が安いとか、重労働とかってイメージはあると思うんですけど、その頃の介護現場は本当に過酷なものだったみたいで。働きながらでも介護の資格は取れるので、介護以外のものを見るのもいいかなと思って、幼児教育の方に進んだんです。でも、2年間短大生活を過ごしても、やっぱり介護職で働いてみたいなと思って、新卒で介護の道に進んだっていう感じなんですよね。

その時も、家族たちから「いや、大変だよ。他の仕事しときな。」って言われました。いざ介護職について働いてみたら、確かに身体的に大変な部分もあるけど、それよりも楽しいなって。

—— 楽しいと思えるのはどんな時ですか?

1番嬉しいのはやっぱり利用者さんが喜んでくれたときですね。こうすればきっと喜んでくれるかなって、スタッフみんなで関わりを続けていくっていうのにやりがいを感じました。

介護

入浴を拒否する方に対して、どうやったらお風呂に入れるかなっていうのをスタッフで話し合ったりとか。「好きな歌手の歌を歌いながらお風呂場に行くといいみたい」というような細かい情報をスタッフ同士で共有するんです。そうしてベストな誘い方を考え出して、お風呂に入ってもらうことに成功したら、その方に拒否してたことも忘れてるぐらい喜んでもらって。その瞬間がすごく嬉しかったですね。結構、そういう瞬間が介護にはあります。

でも、そういうスタッフの関わりがよかったから喜んでくれたっていうのももちろん嬉しいんですけど、例えばお孫さんが遊びに来た時にすごく嬉しそうだったとか、 純粋に喜んでる様子を見られるっていうのも介護のいいところだなと思います。

やっぱり認知症の方って、時間がたったら忘れてしまう部分もあるんですけど、覚えていなくてもその一瞬がすごく楽しければいいよね、その人が楽しい時間を過ごせたならそれで いいじゃないか、っていう考え方を仕事を通して学びました。専門的なことを考えればもっとできることもあると思うんですけど、介護職としてそういうのを大事にしていくのがいいなって思っています。

介護

—— わたしなんかは仕事では「お願いすればある程度やってくれるのが当たり前」という感覚があるので、シンプルに介護職の方はすごいと思います。

そうですよね。わたしも介護職を始めたばかりの時は、なんでだろうと思うこともいっぱいありました。

わたし自身が、一見他の人が聞いたらよく分からないような発言をする方とか、 不思議な発言をする方のお話を聞くのが好きなタイプなのかもしれません。

利用者さんの奇想天外な話を聞くのも好きで。「もうすぐ〇〇が迎えに来るんだ」みたいなのとか笑。面白いと思うのは失礼なんですけど。

よくよく聞いてみると、その方にはちゃんとその人なりの理由があって言ってるんですよね。そこでその方の新たな一面を知ったり、歩んできた人生をちょっと垣間見ることができたり。そういうのがあると、相手が思うように動いてくれなくても、またそこも楽しいというか、その利用者さんのことをどんどん好きになることができます。

ゆるく人との関わりを持ちたい

—— 介護のお仕事、すごくお好きなんですね、ゴンさんにあっている仕事だと思います。

介護の仕事はすごく好きなんですけど、今はちょっと時間的な問題で 介護の仕事から少し離れているんです。今はタイミーというアルバイトのアプリを使って、ちょっとした時間に働いたりしています。近くの温泉街にお皿洗いのバイトをしに行ったりとか、ホテルでちょっと働いたりとか。農家さんでニンニクの皮むきのバイトもやりました笑

—— そうなんですね。それはお金のためというよりは、自分の時間を使いたくて働いているんですか?

そうですね。もちろんお金も大事なんですけど、それにプラスして人と関わりが持てたらいいなという感覚でやっています。そこまで深く仲良くなるわけではないんですが、ちょっと話して、ゆるっとした感じで少しコミュニケーションが取れるのがうれしいですね。

歩く女性

介護の仕事はまたしたいなと思うんですけど、ちょっとそれよりも優先したいことがあって。今はそんな中でも、読書会などの好きなことができる場があったり、自分の都合で働いたりもできて、探せばいろいろあるんだなって実感しています。

—— ゴンさんはすごく幸せを探すのがうまい人ですね。また読書会でも近況をお聞かせくださいね。

ゆる読書会に2年以上参加してくださっているゴンさんにインタビューしました。後編では本からはちょっと離れてお仕事のお話についてお伺いしました。介護職へついた経緯や、仕事への向き合い方からも素敵なお人柄が伝わってきましたね。

ゴンさん、ありがとうございました。


インタビュアー げんだちょふ

子育てと仕事と趣味の「ちょうどいい」を考える転妻。 2019年にゆるさと安心感がウリのオンライン読書会【ゆる読書会】を開始。2020年に娘を出産。2021年からオンラインアシスタントとして開業。

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