ゆる読書会 参加者インタビュー Vol.3 ゴンさん(前編)

今回は北海道から2年以上ゆる読書会に参加しているゴンさんにお話を伺いました。本を好きになったきっかけやお仕事である介護職について、前編、後編に分けてお送りします。ゴンさんの温かい人柄が伝わるエピソードたっぷりのインタビューです。

お話を聞いた人 ゴンさん

1992年生まれ、生まれも育ちも北海道。大学卒業後は介護職の世界へ。趣味は読書、日記や手帳活(読書記録など)をすること。

後編はこちらです。

本を好きになったきっかけは両親の読み聞かせ

—— 数年前から読書会に継続的に参加してくださっていますが、本は小さな頃からお好きだったんですか?

はい、小さい頃から好きでした。考えてみると、両親や年上のいとこから絵本の読み聞かせをたくさんしてもらったのがきっかけかもしれないです。両親自身はそんなに本を読まないんですが、読み聞かせはよくしてくれたんです。覚えている範囲だと、3〜4歳ぐらいからいっぱい読み聞かせてもらっていました。

特に母の方が絵本が好きみたいで。絵本って子供向けにわかりやすくかみ砕いた形で物語が進んでいくと思うんですが、そういう温かい部分がすごく好きだったみたいです。「この絵本いいよね、いいよね」って言いながら読み聞かせてもらってたのでわたしも自然と引き込まれて行きました。特に覚えているのは林明子さんのこんとあきです。妹も大好きで、姉妹そろって読んでもらいました。

—— うわぁ、心温まるエピソードですね!

はい(照)。2人とも小さい頃は体が弱くてよく入院してたんですが、入院中もよく本を読んでもらいました。妹の話になるんですが、ピノキオ(カルロ・コッローディ)の絵本が好きで。冒頭「子供のいないゼペットじいさんは〜」から始まるんですが、それを病室で何回も読んでもらっていたら、一緒に入院してた同じ病室の子のお母さんも覚えてしまって笑。母が「ほら、『子供のいないゼペットじいさん』読んであげなくていいの?」って言われていたらしいです。

そのぐらい絵本は小さい頃から身近にありましたね。

—— 絵本の読み聞かせから読書が始まったのですね。自分で読むようになったのは小学生ごろですか?

はい、小学生の頃は児童書を主に読んでいたと思います。今もなんですけど、その当時から犬がすごく好きで。犬の中でも盲導犬が出てくる話にすごく興味があって、よく読んでました。盲導犬クイールの一生(石黒 謙吾)っていうノンフィクションなんですけど、まずドラマで見て感動して、 その後に本を読んだ記憶があります。たぶん高学年ぐらいですね。

—— それからずっと本は読まれていましたか?読んでいない時期もありましたか?

読んでいない時期もありましたね。幼稚園〜小学生の間はかなり読んでたんですけど、中学生になるとゲームがすごく好きになって笑。その頃は本から離れていました。高校生の頃も、友達と遊ぶことの方が多くなって。大学もサークルとかで忙しくて読んでませんでした。

でも、社会人になってからまた本を読みたいなって思うようになって。どうしてかなって考えてみると、学生時代みたいに友達とタイミングよく会える機会が減ったっていうのがあると思います。あと、社会人になって「知りたい」と思うことが増えたのもあるかもしれないです。新卒から介護の仕事を始めたんですが、研修会で勧められた本をちょっと読んで「本ってやっぱりいいな」って思い出して。それで本をまた読み始めて、今に至るっていう感じですね。

本の言葉が自分の支えになることも

—— 本がご自身の生活や考え方に影響を与えていると感じることはありますか?

あまり普段は意識してないんですけど、振り返って考えてみると、本の言葉に救われてる部分はあると感じます。

例えばこそあどの森(岡田 淳)という、好きな児童書シリーズの中の言葉です。つらい生い立ちを過ごしてきた男性が亡くなったときに、その人に対して女の子たちが「かわいそうな人生だったね」って言うシーンがあるんですけど、別の大人が、「かわいそうな部分だけではなくて、すごく幸せな時もあったんだよ。」って言うんですね。

絵本 うさぎ

この言葉に「今、私の置かれてる状況は一見したらすごくかわいそうに見えるかもしれないけど、幸せな部分もあるんだ」っていうのに気づかされました。悲しい部分にばかりフォーカスするんではなくて、温かくて幸せなことももちろんあったっていうことを忘れないようにしたいな、と。

マイナスの場面に会ったその時はそのことに対処するのに精一杯で、なかなか深くは考えられないと思います。でも、少し時間がたってその出来事から離れた時に「いい部分もあった」と消化できたらいい、と思わせてくれました。

—— 子供向けの本ですが、大人も気付かされる深いテーマがあるんですね。

本の選び方。人からのオススメが気になる

—— 本はどんな風に選んでいますか?

人に紹介してもらった本から選ぶことが多いですね。自分の興味と人からのオススメがうまくマッチングした時に、あ、読もうって行動に起こす感じです。

そういえば、ゆる読書会のウェブサイトで紹介されていた趣味で腹いっぱい(山崎ナオコーラ)を読みました。なかなか売ってなくてブックオフで探してやっと見つけて買いました。「自分の好きなこと、どんどんしていこう」って思えた本でしたね。 

ゆる読書会でトリコさんに紹介していただいた窓ぎわのトットちゃん(黒柳徹子)もたまたま図書館で見つけて読みました。

—— 好きなジャンルは特に決まっていないですか。

基本的には、気持ちが重たくなる話よりはほっこりしたり前向きな気分になる小説が好きです。でも、その時の自分の気持ちや状況によってジャンルは問わないです。重たい本でも、今の自分にとって学びがありそうだと思ったら、読むときもあります。

最近は脳科学の本にハマって読んでいます。stand.fm (スタンドエフエム)という音声配信プラットフォームで、馬場ゆきさんという好きな発信者さんがいて、その方のオススメの本をいくつか読みました。ネガティブとうまく付き合う方法とか、どうやったら少しでも心と体が楽に過ごせるかだとか、そういうことに関する本を紹介してくださるチャンネルで、そこから、脳科学の本が好きになったっていういきさつがあります。

誰かの「これが好き」がエネルギーになる

—— ゆる読書会に参加されたきっかけはなんですか?

読書会に参加する前からホームページを見ていて、すごく面白そうって思ってました。

実際に参加してみると、本当に話しやすくて。いい言葉を言わなきゃって思わなくてもいい、自分の思ったままに語れるのでしゃべりやすいなと思ってます。参加されてる方々も皆さんすごくいい方ばかり。お話していて、温かい雰囲気の方ばっかりだなっていうのを感じます。

—— 読書会での話しやすさには気をつけているので、そう思ってもらえて嬉しいです。本を通して、その人が見えてくるのがいいですよね。

本当にそこがいいですよね。人によって本との向き合い方が違うっていうのも面白いですし、そこが同じ本を読んでもいろんな感想が生まれる理由なんだと思います。いや、魅力的な読書会だなってすごく思います。

参加してる方みなさん、それぞれオススメのジャンルも違えば作者も違って、同じ本でも感想が三者三様で、聞いているだけで楽しいし、気付きもいっぱいあります。

わたし、誰かの「これが好き」っていう話を聞くのがすごく好きなんですよね。最近の言葉だと推しの話を聞くのが好きなんです。その人が何を大切にして過ごしてるのかとか、これがすごく好きっていう話を聞くと、その人の好きのエネルギーをもらって元気をもらえたり。

それがゆる読書会にもあると思います。 この本がすごく好きで、とくにここの表現が好き、みたいな、その人のコアな「好き」を聞くと、面白いと感じます。

—— ゆる読書会を気に入ってもらえてよかったです。またお越しくださいね。

ゆる読書会の常連さん、ゴンさんの読書歴やゆる読書会に参加したきっかけについてお話をお伺いしました。おだやかで温かい人柄が伝わってくるインタビューでしたね。後編ではそんなゴンさんのお仕事(介護職)についてお伺いします。

お話の中で出てきた本

こんとあき/林明子

ピノキオ/カルロ・コッローディ

盲導犬クイールの一生/秋元 良平・石黒 謙吾

こそあどの森シリーズ/岡田 淳

趣味で腹いっぱい/山崎ナオコーラ

窓ぎわのトットちゃん/黒柳徹子


インタビュアー げんだちょふ

子育てと仕事と趣味の「ちょうどいい」を考える転妻。 2019年にゆるさと安心感がウリのオンライン読書会【ゆる読書会】を開始。2020年に娘を出産。2021年からオンラインアシスタントとして開業。

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